Grim Saga Project

幸福キャンパス 010

 
 
 
ユウキのことを気に掛けてか、隣のテーブルではやたらとミアが彼と話しているようだ。
マリオは自動的にもう一人の女性、ナナミとの会話になる。
自分の卓での会話もしなければいけないので、そんなに話している内容なんかはわからないけれど、ナナミの印象は感情が表に出ないイメージを抱いた。
なんとなくサオリと近いか。
僕自身がそれほどたくさんの女性とコミュニケートしていない、つまり経験不足だからかもしれないが、ナナミとサオリはきっと話しても何を考えているか、掴めないだろうなと感じた。

奥のテーブルはもっと把握しづらかったが、カズマが中心となって会話しているようだ。
それをうまくリンが聞いていて、ソノハもそれに従っている。
ユキはつまらなそうに見えた。

さて、僕のテーブルはと言うと。
サオリとユウカの声が一番聞こえていた。
僕とケンイチはそれほど話題を振ることもなく、必要に応じて相槌を打ったり、意見を言ったりするだけ。
なので妥当ではある。

ケンイチは思ったほど話せないわけでもなかったが、女性は得意ではないのだろう。
言葉を発するたびに、躊躇いや照れのような雰囲気が滲み出る。
僕にもそれはあるはずだけど、ケンイチが隠れ蓑になってくれている可能性はあるかな、と思ってしまった。

なんとなくみんなの個性がほんの少し見えてきた頃、開始から二時間程度が経過していただろうか。
異変というほどのことではないけれど、隣のテーブルでユウキが机に突っ伏して眠ってしまった。