幸福キャンパス 007
「シュンくん、おー、ミアちゃんも一緒か。ん?そっちの美少女は?」
「あ、こんにちは。私、ミアのお友達でリンっていいます。学校違うんですけど、二人に会いに来てました。」
「へええ。シュン、今日は来れるでいいんだよね。せっかくメンバー集まってきたからさ、新歓的に飲みにどうかと思って。リンちゃんもどうかな?」
「え、私サークルの一員じゃないのにいいんですか?」
「ああ、いいよいいよ。割とうちって来るもの拒まずだから。去るものは追うかもしんないけどね。」
「お酒、ですか…。あまり得意じゃないな。それに女性二人はまだ…。」
「あー、えーっと、会費いくらですか?急だったし、ウチらそんなお金持ってないから、あんまり高いと難しいかも。」
「あ、コネある店あってさ。女性は1,000円でいいよ。それなら一食分ぐらいで済むでしょ。男は3,000円でー。」
「いや、先輩方、浪人してる人もいるかもしれないけど、中にはまだ未成年がいるでしょう?そこはどうするんですか?」
「あら、シュンくん、お堅いなあ。法律云々言い始めたら確かにそりゃそうだけどさ、19も20もそんな変わらないよ。実際アルコールを摂取する上で問題になるのは、年齢じゃなくて適切な量だと思うけど。俺ら無理強いしないし。」
「そういうものですか。」
「1,000円かー。それやったらウチ行きます!」
「あ、ちょっと、ミア…。」
「リンちゃん無理しない程度に付き合わなーい?」
ミアのこの懲りてなさ加減というか、現実主義には驚くばかり。
結局流れに押し切られて三人とも参加することになってしまった。
それにさ、こういう場でこそ尻尾出すかも、とミアが囁いたことでリンは頷いてしまった。
そういえば二人はお酒は飲めるのだろうか。
なんとなくだけど、単純に先輩方が、または三人のうちの誰かが、自分の欲求を満たすためだけに動いているイメージでいたけれど、実はそんなシンプルな話じゃないのかもしれない、という気がしてきていた。
マリオとカズマの二人はもちろん容疑者として見続ける必要があると思う。
しかし、もう少し落ち着いてよく見ることが大事かもしれないな、と思い直していた。
僕は先輩方が先に店に向かってから、お手洗いに行くついでに一本電話を掛けておいた。