Grim Saga Project

18-60. Information Aggregation

 
 
 
 桐生竜也ことドラゴンからすると、大変な葛藤だったはずだ。
 突発的に開催された.&の会は、一時間の占いタイムの後、まもなく幕を閉じた。
 少なくとも彼がどう思ったかはわからないけれど、私もピネもセツナももう会に参加しない、と伝えて、ドラゴンはそれに頷いた。
 
 ピネとセツナとその後お茶をしに行き、そこにリンが合流した。
 ドラゴンは望んだら手に入らないグリムの器を、おそらくまだ手に入れるための何かを考えるだろう。
 ただ、先ほどの時点ではドラゴン自身もどうすればいいかわからなかった。
 
 ピネは本当は、あの場で神を憑依させずに、不穏になった場合は宝剣でドラゴンを斬るつもりだったと告白した。
 殺すつもりはなかったが、諦めるに相応のダメージを与える覚悟をしてきたのだと語り、セツナはだからこそ神が自ら降りてきたのではないか、と意見を表明した。
 同意である。
 話を聞いて先にセツナが話したものの、私もまったく同じことを考えた。
 
 これで.&の会は、少なくとも私たちにとって終わりを告げた。
 支部があると言っていたし、まだ情報収集のために私たちの地域の会もメンバを替えて続けられるのかもしれない。
 それは私たちには関係ない。
 
 しかし、グリムの器がこの近くにたくさんあるというのは意外だった。
 たしかにピネの器以外にも、セツナもリンも…。
 そうか。
 つまり、この近くに、今は彼らに与する者がほかに何人もいるのだ。
 グリムの器がものすごく貴重なものだと、ドラゴンも思っていただろう。
 
 私より情報が少ないとはいえ、彼も頭が良い。
 すぐにセツナや私たちがグリムの器と関わりがあって、その繋がりがこの近辺のグリムの器が多数存在するイレギュラーを引き寄せている可能性に気付く。
 しかし、いくつ器が存在しようと、彼がどれだけ求めようと、望んだ者に都合良く力を貸さないこともわかるだろう。
 
 この推理…、いや、ほぼ確定事項であろう情報の整理の結果を、セツナとリンに告げる。
 次のステップに向けて私に何かできることはあるのか、二人に聞きたかった。
 ピネも目を見開いてこの話を聞いていた。