Grim Saga Project

17-53. 2XXX.0XH01

 
 
 
 ドラゴンの指定したカフェに着いた。
 指定の時間より一時間早い。
 不満そうな凛を置いて、僕は一人で来た。
 
 凛を連れて来なかった理由は二つだ。
 もちろん危ないから、というのが最たるものだが、僕はもう一つの理由を全面に出した。
 もしこの会合で何かあった時の切り札として控えていて欲しい、という言い方をした。
 
 何かが起きた時、二人とも会に参加してしまっていたらどうにもならない可能性がある。
 それに、凛は存在が仮に知られていたとしてもマスタであることが知られてはいまい。
 
 早く来たのは、心の準備、情報の整理、カナメやピネより先に来たかった、などの理由からだ。
 ドラゴンはカフェ内に設けられた会議室を押さえたようだ。
 その会議室にはさすがに一時間前には入れないだろう。
 空席に座ってアイスカフェオレを注文した。
 すると、ドリンクが届く前に向かいに人が座る。
 
 
 
 「やあ。」
 
 「ずいぶん早いね。」
 
 「カナメだって。」
 
 「うん。なんていうかな、居てもたってもいられなくて。落ち着かないから、早めに来た。」
 
 「そうか。ちょうど良かった。あまり大声では話せないけど、僕も似たようなもので、ちょっと色々整理したくて。相談に乗ってくれないかな。」
 
 「ああ、それはホントにちょうどいいね。私も似たような心境だったんだけど、一人で考えるより誰かに相談できたほうがスッキリしそうだよ。」
 
 「うん。とりあえず公共の場だから、下手な手を打つようなマネはしないと思うんだけど、一応警戒しておこう。」
 
 「ああ、もちろんだ。リンは置いてきた?」
 
 「散々ごねたけどね。でも、心配だしリスクもあるけど、もしこの会で何かが起きた時の切り札だとも思ってるんだ。そういう風にお願いしてきたよ。」
 
 「なるほどね。私の方が戦闘向きなのに!って言われたんじゃない?」
 
 「はは。まさに言われたよ。でも、また知られていないアドバンテージを有効に使うメリットの方が大きい。」
 
 「それはその通りだね。ピネはセツナや私にも来ないで欲しかったようだけど。さすがにそういうわけにはいかない。」
 
 「いかないね。」
 
 「僕はどちらかというピネに待っていて欲しかったよ。僕は慣れているから平気だ、って言ってもダメなんだろうな。カナメも聞き入れてくれなそうだし。」
 
 「わかってるじゃないか。」
 
 「最近は女性が強いんだ…。」