15-50. What is the name of God
ドラゴンには私からメッセージを送った。
セツナやピネよりも会の所属は早かったこともあるし、なんとなく自分ができることを探している気もする。
器持ちの三人に対して自分は引け目を感じているのかなと思ったが、リンが"それは気にしなくていいんじゃない?一時期でも器と触れていた経験を持ってるだけで充分貴重だと思う。"と言ってくれたことで気が楽になった。
不思議な魅力を持った二人だ。
さて、ドラゴンに送ったメッセージはこうだ。
「私から連絡するのは初めてだね。今日私たち、ピネやセツナも別の場所で同時刻に黒スーツの男たちから尋問めいたものを受けたよ。君のところには来たかな?あの会と関係がないとは思えない。私たちは会を抜けようと思う。ドラゴンとはもう一度会話しておきたいんだけど、近日都合がつくタイミングはある?」
ドラゴンの話を聞きたい、という言い方だ。
それに実際、ドラゴンの下にも黒スーツが行っている、という可能性も多少はあると思う。
あとは、対面の場でどう会話するか。
もちろんその場での柔軟な対応力は必要になるけれど、ある程度の流れを想定しておきたい。
こういう方向に持って行きたい、という感覚が自分の中で明確であった方が会話を有利に進めやすい。
ドラゴンは私たちの敵にも味方にもなり得る。
裏ピネ神はそう言っていた。
今もまだ変わらないだろうか。
今はどちらだろう。
そして、黒スーツたちの組織とドラゴンはどういう関係だろう。
グリムの器を必要とする理由に、私たちが納得するだけの理屈はあるだろうか。
想いを巡らせる間に、ドラゴンから空き日程の連絡が来た。
明日の夕方、近所のカフェ内に併設された会議スペースを押さえたからそこに来て欲しい、という内容だった。
少し迷ったがセツナとピネには同行するかどうかを確認するメッセージを送った。
あえて、リンには送っていないが、セツナはその意味を察するだろう。
なんとなく最終局面という言葉が脳裏に浮かんだ。