14-46. Blunder
わずか5分もの間にカナメ、セツナ、リンから連絡が来た。
私はグループメッセージで全員に居場所を返信した。
普段なら動揺していたはずの突然の黒スーツの来訪も、事前に私の神さまが注意喚起していてくれたから、落ち着いて対処することができたのだ。
私たちは君の持つグリムの器について、詳しいことを教えて欲しいんだ。
どうだろう、協力してはくれないだろうか。
えと、あの、協力することで、わ、私には何のメリットがありますか?
ああ、もちろん多少ではあるけれど報酬をお支払いしようと思っている。
だが、我々も無尽蔵に投資できるわけもなく、そんなにたくさんは難しい。
あ、あの、私、別にお金は要りません。
何が目的ですか?
目的、か。
グリムの器そのものが、我々人間の通常生きる世界の常識からは大きくかけ離れた力を持つことは知っているだろう?
その力は一個人が所有するに余りあるものだと私は考えている。
だから、…どうしますか?
組織や、団体なら、有意義に使える?
わた、私は、難しいことはわわわかりませんけど、…うう。
協力することはできない、という意志の表明と捉えるしかないだろうか?
うーん。
少なくとも、納得はいってないです。
じゃあ、その組織はどうやって、力を、活用するのかもわからない。
我々か、またはその組織が、グリムの器を有効に活用することを証明できればいい、という理解で良いだろうか。
あ、え、えーっと、証明できたら協力する、って言いたいわけでは、…なかったんですが。
お話をしてもいいかどうかすら、今のお話だと、わからなくて。
ふふ。
そうか、わかった。
ではひとまず今日のところはそれで良しとするよ。
十分な収穫を得たので、次は君が納得してくれるための準備をしてこよう。
黒スーツの男が席を立つ。
私は小さくホッとため息をついた。
とりあえず今は退散してくれるとわかって、内心ものすごく安心してしまった。
しかし、そこに三人が飛び込んでくる。
セツナが"ピネ!無事か…!?"と、声を上げたものだから、私は恥ずかしくなって俯いてしまった。