12-44. Answer and Cry
計るように、私は簡単な情報を出し始める。
グリムの器というのは一つや二つではなく、実はとてもたくさんあるそうです。
男は頷き、それは知っているよ、と言わんばかりである。
それではグリムの器というのは、過去に存在したグリムの一族が打った、または作ったものだというのも知っているかい?
男がそう返してきた。
今度は私が頷く。
グリムの一族は鍛治の家系だったためか、時代背景のせいかはわかりませんが、その多くは武具の形をしているらしい、というのは?
さらに情報を出してみる。
男は、それも噂程度だが聞いたことがあるね、と返す。
ただ、すでに発見されてるものの中にはアクセサリの類のものもある、というのは聞いているよ。
知っているかい?
いいえ。
アクセサリというと、ネックレスとかイヤリングとか指輪とかそういうものですか?
そのようだよ。
ところで武具と言っても様々なんだ。
ああ、そうだ。
やはり君はある程度器のことを知っているようだから、ちゃんと尋ねたい。
根室雛さん、ああ、君たちの呼び名ではピネさんだね。
彼女の占いの店に行ってみた際に使っていた宝飾剣を、我々はグリムの器だと思っている。
君もそれを知っているはずだから、その話を聞きたいんだ。
なるほど。
ストレートな質問。
そう来たわけか。
え、そうなんですか?
私もたしかに占ってもらったのでその剣は見ました。
あ、たしかに武具ですね。
今言われて気付きました。
少なくとも私はそれがグリムの器だとは知りませんでした。