Grim Saga Project

08-32. Witch is the Which

 
 
 
 「ふうん。貴女は…この子と似ている。」
 
 「この子というのはピネさん?」
 
 「そう。貴女がピネと呼ぶこの肉体の持ち主。」
 
 「どの辺りが似ている?」
 
 「素養、ね。」
 
 「素養…。それは私の炎の力と関連がある?」
 
 「あるわ。とても。」
 
 「私はこの力を使いこなすことができる?」
 
 「そうね。もうできているでしょう?ある程度までは。あとは貴女次第、というのが通常の回答なんだけれどね。まだよ。もっと。貴女が漠然と想像するよりも、それは強力なの。」
 
 「より力を柔軟かつ、思い通りに使いたいと考えたら、感情のコントロールはどうすれば良い?抑制?それとも解放?」
 
 「それも貴女は知っている。どちらも必要なの。」
 
 「うん。」
 
 「ほかは?」
 
 「んー、じゃあ私と瞬の相性を聞こうかな。せっかく占いなんだし。」
 
 「え、あは、ははは。貴女も面白いわ。思考の脈絡が特有ね。いいわ。貴女と彼は大丈夫。むしろ今からお別れできないでしょう?おそらくどんな理由があっても、貴女も彼もその選択はしない。」
 
 「それ占い…?でも、うん、多分その通り。…じゃあ、そうだなぁ。彼のお姉さまとその彼はうまくいく?」
 
 「ん…。へえ…、面白い。その二人もまた特殊ね。数多の困難が待ち受けているのに、もろともしないわ。周囲の色んな人間関係の楔でもあるのね。支える二人なの。そして繋ぐ。」
 
 「うん。うん。じゃあ、妖精さんはハッピー?」
 
 「その妖精さんというのは比喩?」
 
 「わからない。妖精の定義がわからないけれど、少なくとも私は本物の妖精だと思っている存在。」
 
 「オーケー。この子はまた、…大きな運命、宿命、というべきかしら。背負っているものが大きい。でもその責務から逃げないのね。貴女たちがいることが大事ね。たくさんのアンハッピーを経験しているし、ずっと悲しい思いをしているのに、強いのね。」
 
 「ハッピーにはなれる?」
 
 「なれるわ。」
 
 「良かった。ラムはどうかしら?」
 
 「それも人の呼び名ね?」
 
 「うん。ハッピー?」
 
 「いいえ。」
 
 「そう…。彼女は今から少しでも救われる?」
 
 「ええ。救われる。暖かいから。」
 
 「これも貴女たち、かな。うん。先ほどの妖精とも繋がっているのね。周囲の光が暖かく照らすことで、極寒の地獄から抜け出して、今は新たなシーズンに突入している。ただ、伴侶という意味合いでは難しいかな。釣り合う異性がそもそも少ないし、巡り合いづらい。」
 
 「それはそうかぁ。」