08-31. Wisdom and Mystic
「神にも挨拶の概念があるんだね。」
「ふふ。親しみを込めて。」
「今日は二人、貴女に会わせたい人を連れてきた。」
「ん。んー、マスタかしらね。二人とも?」
「わかりますか。」
「いえ、何か特別な力で、とかではないわ。なんとなく。貴方たちの言葉で言うと、勘ね。」
「二人分の代金は私が持つ。なので、二人を見て欲しい。」
「あら、ちゃんとルールに則ってくれるのね。」
「ああ。ピネから事前に聞いていた。神相手にそんな暴挙は振るえないよ。」
「貴女はいつも賢明。いいわ、一人ずつ私の前に掛けなさい。」
「それじゃあ僕からお願いしようかな。」
「ええ。何を占えばいいかしら。」
「ドラゴンについて。」
「ドラゴン?何かの暗喩?」
「いや、ある人の呼び名なんです。」
「へえ。その人の何を占えばいいの?」
「ドラゴンが僕たちにとって、力を貸してくれる存在なのか、それとも敵対すべき立ち位置なのか。」
「随分具体的なのね。そして提示された選択肢が対になりきれていない。けどいいわ。どんなことが聞きたいのかはわかった。………。ふぅ…。んー、現時点ではどちらにもなり得る。貴方たちの行動や選択次第、ということね。」
「なるほど。少なくとも現時点では白でも黒でもなくグレーか…。それでは曖昧ですみませんが、.&(ドットアンパサンド)についてお伺いしたいです。」
「ふふ。あくまでも占いなので、曖昧過ぎる質問には答えられないわ。その.&というのは何?」
「はい。僕がカナメやピネと出会った場の会、またはその主催者・主催団体の呼び名のようなものです。んー、そしたら、その.&はグリムの器を追うためのものなのか、占ってもらえませんか。」
「うん。少なくとも無関係ではないわね。ただ、うーん、私に今見えている.&はそんなにキレイなものではないかな。多分色々うまくいっていない。まあそのイライラに巻き込まれないように注意することね。」
「それでは我々、現在.&の会に所属する三名が脱会した方が良いかどうか、はいかがでしょう。」
「今はダメ。抜けるべきではない。気運としては、とっとと抜けるべき、というのも一つの結論なんだけれども。タイミングは見計らった方が良さそうよ。」
「あくまで占い、ということは理由を伺うのは野暮ということですよね?」
「ええ、その通り。根拠はある場合もあるけれど、結果についてはなんら保証するものでもない。ほかに占いたいことは?」