08-29. It is a GOD
「ふああ、おいしぃ…。」
「ピネが嬉しそうで良かった。甘いものが好きならデザートも楽しみにしていてよ。」
「う、うん、はい。こんな美味しいハンバーグがあるなんて…はああ……。」
「だろう?私も何を話していたのかわからなくなるほどの衝撃だったよ。」
「僕は、このサラダのドレッシングも毎回すごいなぁ、と思ってるんだ。市販のものにはない味だよね。すごく美味しい。」
「あ、で、えっとピネさんの器の話…でいいんだよね。ごめんなさい、なんか話半分で。」
「う、ううん。私もなんだかこれまでずっと色々考えちゃってたんだけど、これ食べたらなんかどうでもいいっていうか、…んー、なんて、言うかな…、小さなこと、かもしれない、って。」
「食事の力は偉大だな。私も本当に先日偶然連れてきてもらえて良かったよ。これに気付かずにずっと過ごしたかもしれないと思ったら、ものすごく損した気分になる。」
「んー、凛、慌てずデザート食べてからにしようか、続き。」
「あ、いや、大丈夫だ。すまない。夢中になりすぎた。ピネ、どうする?」
「うん。でも、どちらにしても、私の器を見てもらおうと思ったら、…食べ終わってからには、なっちゃう。」
「たしかにそれはそうだ。先に簡単に説明しておこうか。私も先日初めてピネに見せてもらったんだけれど。先ほどの凛の炎、あれも特殊なものだと言っていたね。ピネのものも変わっていると思うんだ。なんというか、発現させるのに儀式のような振る舞いが要るので、食事が終わってから直接見てもらおうと思う。あれは、表現するなら憑依のようなものだと私は認識している。」
「憑依…。カナメさん、それってピネさんに何か別の人格が宿るようなことですか?」
「うん。そうだね。ピネ自身はその時どういう状態なんだい?……、うあ、このプリンは、たしかに美味しいな!」
「あ、うん。こっちのタルトもすっごく美味しい。私は、器に身体を操られているような、んー、意識は、あるんだ、…よね。なんとなく。だから、覚えて、は、いるの。でも、私は見ているだけ。」
「なるほど。私はピネに憑依する存在は、器の意識であり、また、神だと思う。」