08-26. Ambivalent Vessels
7月の会でピネが何か言おうとしたのをカナメが止めた。
そろそろ本題の日常の中の非日常について話をしないかい、ってな具合だ。
ピネが気にしていた何かが一体何なのか、妙に気になった。
ドラゴンも気になったのではないかと思うが、あの場では深追いはしなかった。
実際、新たな事実やグリムの器が話題に上がったことなどで、議論は飛躍し推測や想像での会話も増えつつあった自覚もあるので、カナメの指摘はおよそ正しい。
むしろ立場的にはドラゴンが行うべき軌道修正であったのではないかとも思える。
だからドラゴンも止めなかった。
そんな風に思う。
だが、僕自身が受けた印象は、カナメが何か重要なことを言おうとしたピネをあえて制したように見えたのだ。
…と、まあ気にしても仕方ないし、わざわざ聞くのも憚られた。
そんなことを考えて歩いていたところに、カナメからメッセージが届く。
"また例の美味しい店に食べに行かないかい?突然だけど今夜のご予定は?"
"OK!"
即答で返事をしてから、なんか妙に面白くなってしまった。
カナメらしい。
せっかくだから、ピネが言おうとしたことも聞いてみてもいいかな、なんて思ったら次のメッセージが来た。
"ありがとう。今日はピネにも来てもらいたいんだけどどうだろう。"
"もちろん問題ないよ。それじゃあお店を三人で押さえておくよ。何時頃からがいい?"
という、シンプルなやり取り。
また、思い直して、やっぱり四人で、とお願いをした。
つまり、今回こそは凛を蚊帳の外にするべからず、と思って、すぐに凛の予定を押さえたのだ。
その日の18時に、例の店で待ち合わせをして、四人は円滑に合流した。
いきなり食事の場というのはどうかな、とも思ったのだが、意外なことに凛はものすごく楽しみだという反応だったし、合流した時もにこにこしていた。