Grim Saga Project

07-25. 2XXX.07H05

 
 
 
 「んー。なんとなくだけど、ドラゴンの言った可能性、結構当たりなんじゃないかな。次代の先駆が世に出て、思惑通りこうして話題になっている。たださ、問題はその存在の主張が誰に向けられたものか、だと思う。」
 
 「なるほど。推論の域を出ないけど、たしかにセツナの言う通りだとしても、矛盾はないね。誰に向けて、私の元に来た器があの情報を発信させたか考えてみるのは面白いかもしれない。」
 
 「ふむ。というと、カナメには思い当たる何かがある、ということかい?」
 
 「いやあ、そういうわけではないかな。今のところ何も思いつきはしてない。」
 
 「あのさ、ドラゴン。気を悪くしたら申し訳ないんだけど。この会は、ホントはグリムの器の情報収集を目的にしたもの、という可能性はないかな?会の主旨、日常の中の非日常について語り合って、依頼者にとって何の意味があるのか、気になってはいたんだ。だけど、グリムの器の話を聞いて、ものすごく合点がいってしまった。」
 
 「可能性はあるかもしれないな。とはいえ、依頼主にそんな話は聞いたことがないからわからないが。」
 
 「そうか…。じゃあ、器が自らの存在を伝える相手ってどんな可能性があるだろう。」
 
 「ん、うーん、セツナ。今のこの会の主旨の話、なにか繋がっていたよね。ものすごく突拍子もなく聞こえたけど、なにか繋がってる糸が私に引っかかっているようなもやもやした感覚がある。」
 
 「あ、なんだろう。あまり考えずに言ってしまったかも。」
 
 「カナメさん、セツナさん、あ、あの、なんとなく、なんですけど…、器が、意思を伝える相手、例えば器を追う人々がいるとして、そういう、方々が対象の可能性、という意味で繋がってるのかなって、…。」
 
 「なるほど。ピネ、賢いな。たしかにその通りだ。」
 
 「うん。思い至らなかった。ものすごくそういう風に、なんていうか紐付けづらい繋がりだもんなあ。その場合どういう意味が生まれるだろう。グリムの器が、自分または自分たちを追うものに良からぬ気持ちを抱いるとしたら、警戒・威嚇?そうではないなら、見つけてもらうがための居場所の発信、…はないか。まどろっこしい。フィルタってのはどうだろう。自分を探す資格のある人間の絞り込みのための課題だったとか。」
 
 「セツナは若いせいか、頭の回転が早いな。よくもまあ次から次へとそう様々な可能性をポンポン挙げられるものだ。」
 
 「あ、あの、あと、私、気になったことがあります。」