06-20. Unfavorable visitors
後輩かつ友人、志田結樹に簡単に事情を伝えるメッセージを送っておいた。
詳しい事情はあまり書くべきではないと思ったので概要以外に、お茶でもしに行こう、という誘い文句を加えておいた。
彼からはすぐに返信があって、翌日の夕飯前にコーヒーを飲みに行くことになった。
今のところその後の経過は順調だ、という世間話から始める。
おかげさまで僕も相変わらず忙しない日々を過ごしている。
そして、驚くべき話を彼がし始めた。
どうやらジルドとはまた違った何者かがすでに彼のもとを訪ねて来ていたというのだ。
聞かれた内容は事件の話ではあったが、明らかにグリムの器について聞き出そうとしていたとのこと。
僕が彼にメッセージを送った時はすでに謎の来客済みだったが、訝しく感じたので器に関しては一切話していない。
彼に礼を言い、すぐに凛に連絡を取った。
どうやら今日のうちに七海と園葉のところにも似たような訪問があったようだ。
しかし、やはり聞いた感じ、訪れたのはジルドではない様子。
なにやらきな臭くなってきたな、という感覚。
さすがに凛の元には誰も来ていないそうだ。
さらに翌日、夕華と美愛にも望まぬ来客があったという連絡を受けた。
結果的に結樹は自分の判断だったとはいえ、ほかのみんなには連絡をしておいたことが功を奏した。
器の話を一切せずに事件に関する話だけ素直にしていれば、辻褄はすべて合うわけだし。
凛と想まで辿って来れなかったことで、やはり今は活動していない当時のサークル記録辺りからメンバーを割り出して当たっているのだろう。
しかし、一体なぜあの事件から器が関係していることが知れたのだろう。
そしてジルドではない何者かがみんなのもとを訪れているのも気になる。