06-19. Friends
「うん。そう。ドア会のカナメさんと偶然会ったからちょっと会話したくて、一緒に食事してきた。」
「カナメさん、ね。舞乃葉要でもあり、愛鐘舞穂でもある小説家、だね。どんな感じだった?」
「うん。なんかすごいクレバーな喋り方なので、ものすごい頭が良くて近寄りがたい印象だったんだけど、意外と世間知らずだったりして、はじめの感覚とはまた少し違うなって。例の二作品については、うーん、わからないなあ。まだ器の話にも触れていないよ。」
「そっか。私も読んだ。次代の先駆とセンチメンタルフューチャ。面白かったけど、なんか一風変わってるね。器に関係しているかどうかはわからないけど、直感的には私は関係あると思う。偶然ではないかなって。」
「うん。となるとジルドのこともある。やっぱりドア会自体が器と何らかの関連があると思うのが妥当だよなあ。」
「ああ、今日注意喚起連絡はあらかたしておいた。ユウキくんだけ連絡先を知らないからまだだよ。瞬、彼だけお願いしてもいい?」
「あ、そうだね。了解。」
「てことで、園葉さんが繋いでくれて、私たちもみんなでお茶がてら軽く食事してきたからちょうど良かったんだ。」
「へえ、みんなってどこまでのみんな?」
「美愛がまず会おう会おうってなって、園葉さんが夕華さんと七海さんを連れてきてくれて、夕華さんが想さんも呼んで途中から来てくれたから、私も入れたら六人。」
「わ、それはホントにみんなだ。ありがとう。」
「でもだったら瞬も一緒にいられる時にすれば良かったなって思ったよ。誘おうと思ったら、ちょうど夕飯食べてくる、って連絡もらったから。そしたらカナメさんとご飯食べてるんだもんなー。」
「え?」
「私だって、ヤキモチぐらい妬いたりするんだからね。」
「わ、珍しい!ごめん。全然何にも考えてなかった。」
「そうだろうと思うからいいけど!」
「なんか凛、変わったね……。」
「そう?んー、そうかも。ちょっと気を許しすぎてるかもね。気をつけよっと!」
「うわ、なんか、すごいな…。」
「七海さんが、その便利屋は聞いたことがあるわね、って言ってた。園葉さんは一度依頼したこともあるって。」
「え?依頼ってどんな…?」
「うん、彼氏の浮気調査。」
「美愛が、たまには瞬にも会わせろ、だってー。」
「どういう意味?」
「知らない。」
「わ、なんか凛、怒ってる…よね……。」
「夕華さんと想さんから、凛ちゃんは先輩とケンカしたりすることはあるのー?って聞かれたんだ。あんまりないかな、って答えたら、もっと考えてること言ってもいいと思うよ、って。こういうことか、って思ってるとこ。」