Grim Saga Project

06-18. Knock the door

 
 
 
 「次代の先駆」と「センチメンタル・フューチャ」を購入して、読むことにした。
 話題になっているだけあってたしかに面白く、普段はこういった小説を読まない僕でも、購入してから三日後には二冊とも読了していた。
 世間で話題になっている通り、たしかに複数の予言的な内容を含んでいたが、個人的な感想としては微妙である。
 何らかの根拠や理由があってこれが書けたのか、はたまた偶然書いたものが予言的になったのか、についてどちらとも言えない、どちらもあり得そうと感じた、ということだ。
 
 カナメは例の記号二文字をドットアンパサンドと読んだ。
 たしかにピリオドやアンドを使うよりはそれっぽく聞こえる。
 今後誰かと会話する時は、これを基にドア会と表することにしようと思う。
 
 ジルド、カナメとはそれぞれドア会の外でも会うことになった。
 ドラゴンとピネとは会っていないということでもある。
 特にジルドとはグリムの器について話題が及んだ。
 ということは。
 ドア会が主旨としている日常の中の非日常、というテーマ自体がグリムの器を追い求めるためのものなのではないかと疑うのが自然だ。
 
 ドア会はグリムの器の情報を集めている可能性がある。
 そうだとしたらそれはなぜだろう。
 そもそもグリムの器自体がまったくもって知られていないわけでもなく、都市伝説的な立ち位置で認知されている印象だ。
 実際に、どんな理由かは人それぞれだから良いとして、その存在を信じて追っている人間も一定数いるとも聞く。
 そのうちの一つがこのドア会、またはその主催をしている人々だと考えるのは大きく誤りではないだろう。
 
 なんとなくこう発想したから、僕がグリムの器の恩恵に与っていることや、周囲にマスタがいることは伝えてはならない、という感覚に近づいたのだと思う。
 ジルドはあの様子だと都市伝説認識側だ。
 ドラゴンとピネはわからない。
 カナメはどうなんだろう。
 聞いてみたいと思った。
 そこには、例の二作が必然的に執筆されたものであった場合に、その根源のどこかに器が関係している可能性を考えているから、というのはある。
 
 いや、しかし彼女とも相談したいなとも思う。
 ちょっとしたイレギュラーで夕飯を済ませてしまったが、事前に連絡は入れておいたので大丈夫だろう。
 カナメの話以外でも、例の事件の主な関係者たちに対してドア会から探りが入りそうなら警戒するように伝えるミッションをお願いしておいたのだ。
 その状況確認も一緒にしよう。