05-16. Stories Tiramis
「おいしい食事を台無しにしてしまったら申し訳ないんですけど。カナメさんもまだそんなにあの会に参加してから長くはないってことでしたが、どんな印象をお持ちですか?」
「曖昧な質問だね。ベクトルが色々考えられはする。んー、そしたらセツナ、君の感じているところを先に聞かせてもらえないかな。そしたらもっと聞きたいことに近い答えが出せるかもしれない。」
「あ、なんかそんなかしこまった感じじゃないですよ。不思議な会だなって先日思っただけなので。目的がわからないせいなのかなぁ。参加者のみなさんも個性が強そうでしたし。」
「あのメンバーは個性が強いのか。そんなにコミュニケーションを取る対象が多くないせいか、彼らがどの程度の変わり者かが私にはあまりわからなくてね。」
「なるほど。そうだなぁ。でも、あのテーマ?日常の中の非日常でしたっけ。これ、相当異質だと思います。」
「まあ、たしかに。私の少ない経験の中でも、雑談はあったけれど、あまり一般的に議題にするような内容じゃないよね。というか、あの時も話していたけれど、そもそも日常で体験する非日常なんて限られているし、そうそう起きるようなことでもない。刺激になるから特別気にしていなかったけれど、よく考え始めると謎は多いか。」
「うん。少なくとも無意味に開催されている可能性はあまりないと思ってるんです。費用も時間も手間暇も掛けて、趣味や道楽でした、というものにはあまり思えなくて。」
「言われてみればそうだね。うーん、私も少し興味が湧いてきたよ。セツナには何か思い当たることがあるってことかな?」
「いえ。僕もちょっと不思議なお誘いというか、コンセプトだったものでほとんど興味本位で参加させてもらうことになったようなものなんですが、実際参加してみたら色々考えちゃって。」
「うん。ハンバーグのお礼に私にも協力できることがあれば遠慮なく言ってもらおうか。微力ながら、考える程度のことは手伝おう。」
「ありがとうございます。それじゃあ一つ教えてください。これまでの会ではどんな話があったんですか?」
「ああ。ところでこのお店は多少長居しても大丈夫なのかな。デザートも食べてみたい。その時間を使って、セツナ以外の私を含む四人が話した内容を一つずつぐらい伝えようか。」
「このお店のデザート、どれもオススメですよ。カナメさんまだ割と入ります?二人で食べないとキツイぐらいの量なんですけど、絶品のティラミスがあるんですよね。」