02-09. Q
「ありがたきしあわせ。それでは、その契約が終了したあとのことも占ってもらおうかな。」
「うん。意外ね。終わりかと思ったけど、形を変えて良好、と見える。しばらくはね。」
「なるほど、それなら良かった。」
「誰にとって良かった、という意図?」
「ピネ、だね。」
「へえ。貴女との会話は面白いわ。でも、まだまだ時間がある。占いを続けましょう。」
「では、占って欲しいことではなくて、質問だけれど。ピネにとって良かった、という私の感覚に対するアナタのご意見は?という質問にしようかな。」
「ふむ。なぜそう思った?が、答えね。」
「うん。私もアナタが出会ったことのないタイプで楽しめている。質問に答えるね。今のピネのことをまだそんなに知らないけれど、生きていくには貧弱だと感じていたんだ。簡単に言うと心配していた。だけど、そこには依存の対象と食い扶持稼ぎまで請け負ってくれる神の存在がバックボーンにあったんだな、と解釈して安心したんだ。まあ、きっと私の推測では、契約の内容まではわからないからあまり的は射ないだろうけれど、その契約が終了してもしばらく一緒にいるアナタはきっとピネの自立を促すのだろうという直感に繋がった。」
「なるほど。飛躍型かと思ったけどそういうわけでもないのね。むしろ論理型よ。貴女は頭がいい。」
「はは。ありがとう。神かどうかも知らないけど、光栄だね。」
「ついでに貴女の思考の欠点も伝えておくわ。貴女は貴女が思うより頭がいいのに、少しだけ過小評価気味。それが最善に一番近い選択肢から、時に貴女を遠ざけるの。」
「たしかに。私は自分で臆病である自覚があるよ。納得。適正な安全係数を取っているつもりでいたけど、ただ安心したかっただけか。」
「ええ。素敵。もう修正したのね。あとは、これは修正を促す目的ではなくて、私の自己満足で伝えていると思ってほしいのだけれど、相手を疑う能力が不足している。経験によってしか補いづらいものだから、ちょっと騙してやろうかなって思ったところ。でも気に入ったからやめておくわ。」
「そうか、たしかに。これ、占いと質問は本質的に同じだったりする?」
「答えはNOね。」
「ならば、五感や推測・思考から得られそうもない内容を占ってもらわないと損だね。」
「その通り。」