02-08. Divination
「よほど貴女を信頼したのね。この子。私が降りてくるさまを誰かに見せたのは初めてよ。」
「降りて、くる…?」
「ええ、理解が早いわ。そう、今の私は貴女の知るピネではない。」
「質問を重ねたら時間を掛けてしまいそうだね。今日の主旨は占いだし、時間も限られているから、早速お願いしようかな。」
「ふふ。賢い人間。今まで占ってきた中では抜きん出ている。貴女を気に入った理由がわかるわ。私も気に入ったもの。」
「あれ。意外とおしゃべりしてくれるものなのか。神かなんかだったら無駄口を好まないかなって勝手に想像しただけだったんだ。」
「ええ。でもこの子が生きていくために力を貸すと今は決めているから、それぐらいのことは受け容れているの。気を張らなくて大丈夫。」
「なるほど。それは随分寛大なことで。」
「さて、それじゃ、占って欲しいことを聞こうかしら。なんでもどうぞ。1時間の中でならいくつでもお応えするわ。」
「うーん。迷うなぁ。…そうだな、そしたらアナタ、ピネではない方のアナタと私の関係を占ってもらいたい。」
「あはは、面白い!貴女今、考えてきたことをすべて一度捨てる選択をしたのね。興味深いわ。よし、ではお応えしましょう。ええ、そうね…、不思議。限りなく特殊な関係になるわ。もちろんこれっきりにはならない。私も初めて人間をこんなに面白いと思った。」
「なるほど。そういう感じなんだね。あえて抽象的に応えているのかな。それじゃあ次。ピネとアナタの関係を占ってほしい。」
「へえ…。自分以外を対象にするのね。家族や恋人以外で他人を対象にした、というか、そもそも結果が自分に関係することを期待していない内容が初めて。んー、契約、ね。といってもこれは占いというよりただの事実だけれど。」
「うーん。占って欲しいこと以外にも、アナタの回答に対して質問をすることは許容範囲?」
「そうね。答えられる内容に限りはあるかもしれないけど、特別に許可しましょう。」