Grim Saga Project

02-07. Dependency

 
 
 
 「私は…、すでに、…あなたに今起きていることのお話を、…ある程度、…聞いているので、占いによって…、知ったわけではない、ことが…、たくさんあります。」
 
 
 
 私は占いには詳しくないので、ピネの行う占いがどういったものなのかもよくわかっていない。
 だが、いや、それでもきっとこれは一般的な占いではないんだろうな、という道具がテーブルの上に置かれた。
 
 宝飾剣、とでも言えば良いのだろうか。
 煌びやかな装飾が至るところに施されている。
 刀ではなく、西洋の剣だと思う。
 ナイフというよりは剣。
 細く真っ直ぐ伸びた刀身の刃渡りは1メートルというところか。
 詳しくはないが、剣の中でも分類するなら長剣の部類なのではないか、という印象。
 
 細腕にも関わらず、力強くしなやか、美しいと感じた。
 両手で宝飾剣を持つ。
 左手に鞘、右手に柄、水平に掲げた剣は鋭くシュッという音と共に抜かれた。
 鞘を持つ左手は脱力したようにだらんと重力に任せて垂れ下がり、柄を握った右手だけがまっすぐ前に突き出されている。
 刀身が少しずつ縦方向に傾き、上を向く。
 手首をひねって、剣を上向きに変えたのだ。
 見間違いかもしれないが、その剣はうっすらと光っているようにも見える。
 
 元々部屋には特に灯りなどはなく、薄暗い印象だったので、光っていると感じたのは気のせいではない、と思い直す。
 やがてその光は、剣を掲げ目を閉じている少女に収束するようにしぼみ、そして消えた。
 
 
 
 「さあ、始めましょうか。」
 
 
 
 そう発した声はピネのものではなく、凛々しくもありはっきりとしていた。
 そしてその口調は普段と異なりとても滑らかであった。