02-06. Pre Divination
藁をも掴むか、猫の手も借りるか、どっちが正しいかななんて考えたけどどちらも不適切な気はする。
私自身の困り事に巻き込みたくはないけれど、手をこまねいていても不快な出来事が質的にも数的にも悪化の一途である。
一つの解決に向かう手段として、占いを頼ってみるのも悪くないだろう、という判断だ。
先日の会のあと、ID交換をして何度かメッセージのやり取りをすることで占いをしてもらう段取りをつけた。
聞いて驚いたのだが、"三人官女の森"という変わった名の占い屋は実はこの数ヶ月でものすごく話題になっていて、私自身大して興味がある方ではないのに耳にしたことがあるほどだ。
控えめな彼女らしい言い回しで「ちょっと早い時間でもいーい?」とのことだったので、快諾すると午前10時を指定された。
思ったより早くはなくてホッとした。
週に一度しか開店しない"三人官女の森"は、11時の開店より1時間も前から大行列になっている。
その客を待たせているというか、開店前に客が勝手に待っている時間で占ってくれるようだ。
占い屋というのは、露天的な店構えのものもあるけれど、"三人官女の森"は屋内に店を構えていた。
なんとなくイメージしていたより立派なお店で、なぜ週に一度しか営業しないのか不思議である。
とにかく、私はすでに行列を成している店を傍目に、フロアの中でも占い屋が固まって何店かあるブースを見渡す。
フロアの担当者が声を掛けてくれて、事前に話を通しておいたことを告げると、非常口側に回って裏手から店内に招き入れられた。
私からお願いして、開店前に見てもらうこと以外はすべて一般のお客さんと同じように対応してもらうことになっていた。
"三人官女の森"の店内はこじんまりとしていた。
客用の椅子に腰掛けて、向かいの占い師にまず紙幣を一枚渡す。
先行支払型なのだそうだ。
業界的にそうしないともらいそびれるケースがあるらしく、納得した。
異国情緒溢れるクロスの掛かったテーブルを挟んで私の向かいに座っている占い師は、薄い透明のケープを被っているもののまだあどけない少女のような容姿であることは一目で見て取れる。
見まごうことなく、そこにいたのはピネであった。