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「ということで、すでにこの話は聞いていたからオレとジルドは知っていたわけなんだけど、カナメの参加は有名になってから。オレは舞乃葉要とは知らずに勧誘した。当然思うよ、なぜ依頼主は舞乃葉要の個人情報を知っているんだろうって。その理由は未だにわからない。普通に考えれば、カナメの所属する出版社から情報を引き出せる人間が関係しているはず、となる。この会の主旨的に偶然舞乃葉要に声を掛けたってことはないだろうしね。」
「なるほど。ということは、ドラゴン、ジルド、ピネもある種の有名人ってことになるんですかね?」
「おそらく、だけれどオレはカナメとは少し違うかな。実業家だからね、色々と良くも悪くも顔が広いし、繋がりも多い。そのどこからこの会に繋がったのかは想像もつかない。」
「まあ、あんまり気は進まねぇが、俺は俺でたしかに一部でちょっと名は知れてるとは思う。定職に就いてないが、いくつか掛け持ちで仕事してる内の一つに便利屋、噛み砕いて言うと何でも屋がある。それがそこそこ有名だ。」
「あ、もしかして。僕は今大学生なんだけど、大学で噂を聞いたよ。その便利屋がジルドか。なんだったかな、解決できない問題のない探偵?」
「大学にまで噂が届いてんのかよ、参ったな。たしかに多分それは俺のことだ。解決できない問題がないなんてわけはない。それはただ尾ひれがついただけだな。」
「まあ、ここまで言えばなんとなく色々わかってくるだろうと思う。ある程度名の知れた人間こそ、日常的に非日常に遭遇しやすい人材なんじゃないか、ってことだ。多くの人に認知されているということは、日常の中でそれなりの動きがあるわけで、その中でイレギュラーと遭遇しやすいのではないか、と。ちなみにジルドはオレが声を掛けた。元々仕事でちょっと顔見知りでね。何でも屋稼業の名が知れてきたのは、この会に入ってもらった後だから、ジルドがちょっとした有名人なのは偶然かもしれない。色んな仕事をしているから、色んな経験もする中でこの会の主旨となるようなネタも豊富に持ってるんじゃないかと思った。」
「なるほどなあ。ところで、そういうことだったら僕はなんだろう?あと、ピネも何かしら有名な側面を持ってるってことかな。」
「あの、…私は、スーパーの、レジ打ちのアルバイトをしているんです。…けど、もう一つ、あって。それが、多分、その、少し関係が、…あるかも…。」
「へえ。ピネにもあるんだ。それは興味があるね。教えてもらうことはできるのかい?」
「うん、…隠してはない。…ちょっと、恥ずかしい、けど…。…え…、っと、私は、事情があって、たまに占い師を。」
「占い師かあ。どことなくピネの不思議な雰囲気に納得がいくね。どんな占いをしているんだい?今度占ってもらいに行こうかな。」
「ええっ…!恥ずかしい…。…でも、カナメはちょっと、見てみたい、かも。」
「実業家、何でも屋、小説家に占い師。とてもバラエティに富んだメンバーだなぁ。で、ドラゴン、僕は今のところ心当たりがあるの?」
「ああ、カナメのようになんだか知らないケースもあるけどね。セツナの場合はわかってるよ。キミ自身がどう認識しているかは知らないけど、結構有名人だと思うよ。…昨年起きたH大の事件だ。セツナはその解決に一役買ってはいないかい?」
「あ。あれかぁ…。なるほど。不本意ながらたしかに、事件には巻き込まれたよ。でも、別に僕が解決したわけじゃないんだけどな。しかも、みんなとは違って単発だから、そんなに話のネタが尽きないようなこともない気がするなあ。」