Grim Saga Project

07. 混ざり絡み合う混沌

 
 
 
「率直に聞きます、お父様。お兄様はどこ?」
 
「何を言っている?未来は亡くなったではないか。」
 
「表向きはね。私はずっと信じられなかった。お顔も見ていないし。ただそう信じたいだけだってわかってたから、一人でずっと苦しんで考えて。でもやっぱり違ったの。」
 
「どう違ったと言うんだ。」
 
「お兄様はメッセージを残していた。いなくなる前に。それを見つけてしまった。」
 
「メッセージ?遺書の類はあり得ないだろう。自殺ではないのだし。」
 
「お父様はお兄様を甘く見ています。なぜ私がここに来てこんな話をしていると思いますか?」
 
「未来は死んだのではなく、そこには私が何らか関わっているというわけか。馬鹿らしい。未知、お前はお兄ちゃんっ子だった。今も未来に幻想を抱いているだけだ。」
 
「監禁。」
 
「は?」
 
「お兄様のメッセージには、お父様に監禁されている、とあります。」
 
「くく、ははは。何を。そんなわけがない。どこをどう調べても構わないぞ。未来はもういない。」
 
「時に、おじさま、グリムの器というのはご存知でしょうか。未知がただこれだけのためにここに来たわけではないことはおわかりでしょう?」
 
「グリムの器…。それがなんだと…。」
 
「私はある器のマスタなのです。様々な力を持つ器たちですが、私の相棒と話をしてみますか?」
 
「ああ、一応補足しとくぜ。共謀者だからな、俺は。仮に、だ。このまま俺たちが真相に近づくことに危険を感じて俺たちも監禁、ってのだけは勘弁だ。当然手は打ってある。俺たちが12時間経っても帰らなかったら、ここに仲間が警察を連れて来る手筈にしてある。さすがに娘にそこまではしないでいてくれるとありがたい。」
 
「全部話してくれませんか?おじさま。このまま研究が成功したところで奥様、いえ、未久さんは喜ばないでしょう?それもアナタが一番良く知っているはず。」