082 Episode RA 10 - 追跡
私、ちょっと急ぎます。
登り階段の半ばまで来て、私は居ても立ってもいられなくなった。
一声掛けて、軽い駆け足で石段を登る。
あー、オレも行くわ。
ってことで、ジャガーがついてきた。
明らかに私は瞬が心配です、ジャガーはオレンジが心配です、と言ってるようなものだけれど、そんなことには構っていられない。
私はジャガーと顔を見合わせたが、互いに頷くだけで、スピードを上げていった。
石段を登り終えたところで、大きく息をつく。
さすがに呼吸は乱れているが、何度か深呼吸すると少しして落ち着いた。
「さて、とりあえずここまで来たけどどうする?アップル。何か考えは?」
「うん。正直、ない。」
「お、珍しいな、そういうの。」
「多分ね、私がすぐに思いつくぐらいのことは、瞬にもわかる。少し一緒にいてわかったのは、彼がとても賢いってこと。」
「なるほどね。そんじゃまずは合流だな。」
「うん。」
なんだかんだジャガーも相当にクレバーである。
私が何をどう思って急いで来たか、すぐに察したようだ。
何かあった時にあの二人の能力では弱い。
ジャガーも息を整えて、大声で二人の名を呼んだ。
もちろんその声は後から追ってくるペアたちには届いた。