Grim Saga Project

075 Episode SM 10 - 予感

 
 
 
多すぎる。
僕はそう思った。
今聞いた話を整理すると、僕と凛以外にここにいるジャガー、オレンジ、ペア、初対面のユメカゴの青年、カメラマンの円が買い出しに出ていることになる。
ユメカゴの6人がここに固まっているのも良くない。
核心はきっと嘉稜寺にあるはずだ。
寺に残っているのは、住職のほかに撮影メンバーが2名だそうだ。
編集長とアシスタント。
買い出しメンバーが多すぎる上に、バランスが最悪だ。

「瞬、凛、あなたたち一度先にお寺に挨拶に行ったら?元々買い出しメンバーは足りてるはずだったし。」

「うーん、でしたら、挨拶はもちろん後ほどさせていただくんですが、今電話してくれたとは思うけど、一人ちゃんとお互いの顔がわかる人も戻りませんか?今階段降りてきたばかりで、また登ることになっちゃいますけど。」

「なるほど。そうね。」

「あ、じゃあウチ、彼を連れて戻ります。」

「珍しいな、美愛。絶対面倒くさがると思った。」

「それか零と凛で戻るかのどっちかやろね。」

「それじゃあ、えーと、光井さん?ご面倒をお掛けしますが、僕と先に寺に戻っていただけますか?」

という流れで、僕はオレンジと行動することにした。
凛の複雑な表情の意味を一瞬考えたが、よくわからなかったので考えるのをやめた。
また、メンバー内では独特のあだ名(野菜のもじりや果物)で呼ぶが、誰かいる時は名前にするというルールはその意味はわかったもののなかなか慣れずに言い淀む。
元々詳しく知らないから、不自然ではないのかもしれないけれど、気をつけないと間違えそうだ。

そして、この判断はこれまでの自分らしからぬ妙な積極性があるようにも自覚できて気持ちが悪い。
むずがゆいというと、好意的に自分が受け止めている気がしてしまうから、ちょっと違う気がする。
でもこの小さな変化の理由が、凛の献身にあるとしたら、むしろ好意的に感じるべきか。

ペアは気付いていた。
バランスの悪さに。
一応の納得をして、オレンジと共に長い階段をゆっくり登り始めた。