Grim Saga Project

060 Episode MH 09 - 推理は乱れ雪月花

 
 
 
私の目的は姉に起きた異変の謎を突き止めることで、その鍵がグリムの器である。
籠様やユメカゴについては、本当に長くなりそうなので伏せつつ、嘘を吐かない説明の仕方を選んだ。
幸い、行き当たりばったりにしては、説明に矛盾は生じず、結香は納得したと思う。
 
「うーん、なるほど…。じゃあ、貴女は器を、呪いの枝を手にしたとして、それでどうするの?」
 
「鋭いね。正直なところ、よくわからない。手にして、その力がどのようなものなのか知らないと、見極めないと対処のしようがない。結香はその呪いの枝を見たことは?」
 
「あるよ。」
 
「じゃあ、触ったことは?」
 
「ない。子どもの頃は触れる場所になかったってのと、触りたいと思ったことがそもそもない、っていうのが理由。」
 
「お母様が亡くなったのは病気だったそうだけど、それはどうして呪いの枝が原因だということになっているの?」
 
「ちょいちょい言葉遣いがお嬢様だよ。えーっと、で、お父さんが…、いや、違うかな、誰かがそう言っていたのを聞いたからなのかな、そういえばどうしてだろう。ちょっとうろ覚え。小さい頃からそう思ってたな。」
 
「ふうん。さて、どうしようか。私が器の不思議な力を調べようとしていることに協力してもらえる?」
 
「うーん、正直迷うね。記憶を司る力とか、呪いとか病気とか、良い話も悪い話もある。貴女が調べた結果、災厄が降り掛からない保証はないんだよ。」
 
「でもさ、なんだかわからないと話にならなくない?それに私は、極端な話、呪われて死んでもいいよ。わからないまま生きてるよりマシ。」
 
「…。そんなに強い言い方してもダメ。むしろ、死んでもいいとか言うなら協力しない。」
 
「わかった。死ぬつもりはないよ。結香も強情だなあ。」
 
「それ、協力を求めてる相手に言う?決める前に私の話をしておいた方が良さそう。」
 
「え?」
 
「今からしようとしていることは、呪いの枝に関係があるの。」