054 Episode SM 07 - マーブルグリーン
ペアと名乗った女性の指定に従い、また別の日、別の時間、別の場所。
そもそもペアという名は不思議だ。
本名ではないとすぐにわかるが、それはつまり洋梨の意味だったと気付く。
引き合わせられた男女三人がそれぞれアップル、オレンジ、ジャガーと名乗った。
後にジャガーだけなぜ動物なのかと尋ねたら、彼はこう答えた。
「ああ、オレのはあだ名。いや、あだ名のあだ名かな。元々籠様からもらったオレのあだ名はポテト。じゃがいもなんだけど、さすがにその呼び方はおかしくないか、ってことでもじってジャガー。いいんだけどさ、なんかオレそんなもさいのかねぇ…」
だそうだ。
そうか。
それで僕はキュウリと言われたのだ。
ペアが「あなたはキュウリね。キューちゃんってかわいい。ぴったり。」と言っていたのを思い出した。
つまり、女性は果物、男性は野菜であだ名をつけるのが慣習らしい。
不思議なもので、果物だとあだ名にしてもおかしくないけれど、野菜だとおかしい。
果物と野菜の違いなのか、男女の違いなのか、いや、そのどちらもあるのかもしれない。
そもそも果物と野菜の違いってなんだっけ?
とにかく、この三人も特殊な能力を持っているという。
まったくそんな感じはしないが、自分だって普通に暮らしていればそんな風には見られないだろう。
同じことかもしれない。
この謎の特殊能力集団に身を置くと決めてきた。
謎だった"カゴノオジョウサマ"というキーワードは明らかになった。
ジャガーの発した言葉の中にあった"籠様"という単語、つまりそれは籠のお嬢様のことであり、この集団の主なのだという。
僕はまだその籠様には会ったことがない。