Grim Saga Project

040 Episode JF 04 - そしてかの地

 
 
 
グリムの器というのは、過去に存在したグリムの一族の手から成る様々なものだそうだ。
元は鍛冶業を営んでいた家系で、争いが盛んだった時代に、彼らが打った刀や剣などには魂が宿っていたという。
グリムの器を手にした人間は何らかの常識で計ることができない力を手にしたらしい。
それらは基本的には「人の記憶」に関わる力であったと言われている。
 
誰かの記憶に触れられるだけでもいい。
記憶を探れるだけでもいい。
殺したいほど憎たらしい奴らが、墓まで隠し持って行きたいような秘密を暴けるような力なら何でも良い。
私はグリムの器に纏わる情報をひたすら追うことにした。
 
幾つかの情報を追ってみたものの、ここまではすべてハズレであった。
しかし、初めて私は有力な情報を手にした。
それが奈良県U市に現存するとされる器の話である。
どうやらその器は嘉稜寺に代々受け継がれたものだそうだ。
私は何としても、その器を入手したいと思った。
U市の開発は、はっきり言ってビジネスメリットが少ない。
それでも実行に移さざるを得なかった理由はそういうことであった。
 
しかし私はそこから足がつくことを恐れ、徹底的にU市の開発についても検討した。
つまり、ビジネスとしても成功させないと、U市に手を出したのが都市開発以外の理由であることが明るみに出てしまう可能性があると考えたのである。
元々知識を持っていた寺社・歴史などの勉強に励み、嘉稜寺とは良い関係を築きながら都市開発を進めるプランを描いた。