029 Episode MH 03 - 選ばれなかった白
なぜか情報たちは私に非協力的であったが、そんなことで諦める私ではない。
一つの情報を掴んだ。
関西地方のとある場所にグリムの器が存在する、という噂話だ。
始めは数あるガセネタの一つかと思った。
しかし、聞けば色々その信憑性を高める情報が湧き出てくる。
すぐにでも飛んで行きたい衝動に駆られたが、私は待った。
より迅速かつ正確に辿り着けるように。
必要十分な情報が集まるのを。
我慢を重ねて半年。
私は意を決した。
今なら手に入れられる。
いや、今度こそ手に入れなければならない。
グリムを我が手に。
そこから先がどうなるかはやってみなければわからないけれど、まず手中に収めないことには何も進まないのだ。
情報はいつも完璧ではあり得ない。
具体的であればあるほどそんなものはガセネタで、浮かんでは消えるような情報の中に曖昧で靄が掛かった情報こそが本物であることが多いと学んだ。
それらをかき集めて、あとは推理と直感で進むしかない。
私は某県U市の嘉稜寺がターゲットであると判断した。
情報の断片をかき集めると、そこに何やら不穏な人々も集っていることがわかる。
もしかすると見知った顔に会うことになるかもしれない予感があった。
この予感を利用してアプローチしてみる方法が、私の直感的に一番確度が高く面白い。
私は立ち上がり、すぐに目的の地に向かう旅路についた。