Grim Saga Project

028 Episode MH 02 - 白は透明な虹を想って

 
 
 
私には資格がない。
知る資格がない。
そう言われているような出来事が立て続けにあった。
 
そもそも単独で動くようになったのもそういう理由だ。
当人の傍にいた方が問題は解決しやすいだろうに。
わかっていて、私は離れることを選択した。
 
なぜだろう。
知ろうとし過ぎたのかもしれない。
私が幼過ぎたのかもしれない。
それでも、私には納得できなかったし、諦めることもできなかった。
 
あの人、いや、人なのだろうか。
とにかくあの存在の周囲にいると人間の世界の常識では計れない様々な出来事が起きる。
その大きな原因であったり、要素となっているのが、グリムなのである。
 
色々と調べてわかったのは、グリムというのはラストネーム、つまり姓である、ということ。
人間なのかどうかすら定かではないが、グリムという名の血族が存在した。
未だに存在するのかどうかわからないが、少なくとも過去には存在していた。
その一族が遺した様々な創造物、つまり遺品が非日常の出来事を起こす。
その品を指してグリムの器と呼ぶ。
 
精確には常識で測れない何かが起きた時に、グリムの器が関係している可能性が非常に高いという統計結果であって、グリムの器自体が問題を起こすわけではない。
その不思議な力に魅了された人間が、常識では考えられないような行動を取る、と表現することもできる。
 
人間離れしたあの存在と、グリムがどう関係しているのかはわからない。
けれど、何らか関係があると考えるのが自然ではないだろうか。
名もわからぬあの存在は、姉が籠のお嬢様と呼ぶようになった。
私は幼くてあまり覚えていないけれど、初めからそういう呼び方ではなかったはずなのに思い出せない。
 
籠のお嬢様は、私の大事な友人だったし、それは今でも変わらない。
姉と籠のお嬢様はどちらも私にとって大事な人なのだ。
 
守りたかった。
そして知りたかった。
それだけだろうか。
もっと突き動かされるような、衝動的で強い気持ちが働いているように思えてならない。
 
グリムについて知ることが、本当に姉と籠のお嬢様に近づくことになるのかもわからないのに。
私は今までになく真剣に毎日を生きている。
それだけでも掛け替えのない充足感がある。