027 Episode MH 01 - 白の思惑
アレもハズレ、コレもハズレ。
流石は超一級品、グリムのネタだけあって有力なアタリを引く可能性が本当に低い。
つい、先日の「神の器の毒」についてはもう少し深掘りをする価値はあったのだけれど、情報提供者の情報量が少な過ぎて色々面倒が多そうに感じた。
引き上げるまでにもう少し膨らませた方がいい。
そのまた少し前に思いっきりアタリの情報があったけれど、手に入れるためには盗みを働かなくてはいけないし、情状的にそれはしたくない事案だったのだ。
どちらも良好な関係を作っておいた方が後の自分のためになると判断した。
その判断が正しいかどうかはわからない。
手が届きそうな情報にも深入りし過ぎない自分のスタンスをキライではなかったが、安全・慎重過ぎて歩みが遅すぎやしないかを自問するには至っていた。
言い訳をうまく作ってばかりいたら、手に入るものも入らないし、目的に至るまでの道程も遠くなり過ぎる。
自分は最善の選択ができているだろうか。
私の目的とはある人物の正体を知ること。
問題は二つある。
一つはおそらくその当人も含めて、誰もその人物が誰なのか何なのかわからないこと。
もう一つは、大事な姉がその人物にご執心であること。
後者は私がこの目的を持つに至る理由でもあった。
姉自身はそんな風に考えていないようだったが、私にはその人物が姉の人生を狂わせているように思えてならない。
姉のことは言うまでもなく好きだったが、ここまで入れ込む理由ではないように思う。
なぜかはわからないけれど、私自身が異常に拘っていると言えなくもない。
その人物を構成する要素のいくつかが神秘的だったことが私を惹きつけた、とでも解釈した方が自然か。
そういうことであれば姉のことは単なる口実だ。
私を駆り立てるのは知識欲かもしれない。
使命感と表現しても差し支えはない。
一体その核は何なのだろう。
とにかく、姉のことはきっかけでしかない。
今はっきりと自覚した。
姉を言い訳にした、これは私自身の問題だ。