Grim Saga Project

025 Episode SM 05 - 緑と毒と神の器

 
 
 
「私が"神の器の毒"について、何かを知っているかもしれない理由は"グリム"というキーワードに集約されます。」
 
「グリム…」
 
「ええ。どこまで信じるかはあなた次第だけど、私はあなたの覚悟を信じてお話をします。」
 
「わかりました。」
 
「昔々、グリムと呼ばれる一族がいました。彼らは不思議な力を持っているとか使うことができると言われていました。
実際のところどうだったのかはわからない。だけど、その力が現在も残っている、と考えている人がたくさんいます。
グリム一族の力は、彼らが作った、生み出したものにも宿されているとされているのね。」
 
「…」
 
大丈夫?と聞かれた気がしたけれど、目の前の美しい女性が話し始めた話があまりにも斜め上過ぎて驚いていた。
そして、自分でもびっくりするほどその話にのめり込んでいた。
 
「あ、は、はい。大丈夫です。続けてください。
いや、えっと、なんて言えばいいんだろう。今の話を自分でも驚くほどすんなり受け容れています。
つまり、そのグリム一族が生み出したものが"神の器"ですね?」
 
「あら、話が早いわね。ドン引きしちゃってるのかと思ったけど、無用な心配だったわ。
そこまでピンと来るならあとは想像通り、"神の器の毒"というのはグリム一族が生み出したものがもたらす災厄。」
 
「僕が知りたがっている謎の病気が、その災厄である可能性を指摘された、ということなのですね。」
 
「その通りよ。」
 
「仮に姉の病気が"神の器の毒"なのだとして、…それを治す方法はあるのですか?」
 
「残念ながら私にはそこまではわからないわ。」
 
「…もう一つ、お話しなければいけないことがあります。」
 
目の前の女性がきょとんと僕を見つめていた。