Grim Saga Project

014 Episode RF 02 - 自信と驕りの境目

 
 
 
美愛は情報収集をしていた。
どちらかというと空腹を満たす方に力が入っていた気もしないでもない。
オレ自身はこの定食屋のオススメランチをちゃっちゃと食べて、店のおばちゃんや常連らしい客などを捕まえては話を聞いてみた。
しかしやはりそんなに簡単に価値のある話は耳に入っては来なかった。
 
千年桜も見てみたはいいけれど、ミッションの手掛かりは何一つ掴めていない。
鉄の千年桜とは一体何なのだろう。
 
「零さまの頭脳をもってすれば、この後どうすればよろしいか、わかるんじゃなくって?」
 
「なんだそりゃ…、んなわけないだろ。」
 
「だよねぇ。どうする?」
 
「千年桜を見ても何もわからなかったけど、まったく無関係ってことはないと思ってる。」
 
「どうして?」
 
「“鉄の千年桜”と千年桜の名を冠している以上、そこに何か繋がりはあるはずだし、逆を言えばこれ以外に取っ掛かりがないんだから、無関係であるという結論を早々に導くべきではない。」
 
「そっか。それじゃもう少し千年桜について調べてみる?」
 
「ああ。でも実は史実とか背景については少し調べてきたよ。」
 
「マジで?さっすが!」
 
「おだてても何も出ないけど、礼を要求できるなら今日の晩ご飯担当をお願いする。」
 
「げげー。それはイヤだなぁ。…あ!ていうか、零、実は結局私の料理食べたいんでしょ!」
 
「やっぱいいや。」
 
「ちょっと!」
 
千年桜は嘉稜寺という寺が管理をしている。
樹齢は千年まではなくて、実際は900年程度だそうだ。
管理といっても水をあげたりするわけではなくて、土地の権利者として嘉稜寺の坊が代々千年桜の無事を見届けている程度だとか。
天然記念物としても指定されているから、それなりに保護もしている。
とはいえ、実際に見た通り、特に厳重な警戒体制を敷いているわけでもない。
 
というのが事前調査を簡素にまとめた内容であった。
 
「で?じゃあどうするの?」
 
「簡単だ。嘉稜寺に行ってみよう。」
 
「了解ー。」
 
「行ってどうすると思う?」
 
「え?お坊さんに鉄の千年桜って知ってますかー?って聞くとか?」
 
「美愛らしいけど、それで知らないって言われたら終わりじゃない?」
 
「えー、じゃあどうしろっていうのよぅ。」
 
美愛はぷうっと頬を膨らませて見せた。