012 Episode RF 01 - ある若き探究者
「美愛、今回は力ずくはナシだからね。」
「あのねぇ、零。そんなに何度も言わなくてもわかってるってば。」
「じゃあ先走りもナシだよ。」
「うぅ…。」
オレと美愛は桜の木の前に立っていた。
大きな桜の木。
樹齢は千年を超えるという噂を聞いていた。
だから千年桜と呼ばれているそうだ。
千年桜はとある寺を参拝するための参道にある小高い丘に立っていて、近くの景色が一望できる。
桜の木に登ったらきっともっと気持ち良い景色が眼前に広がるのだろう。
ちょっと登ってみたい気持ちが湧き上がるが、それはやめておく。
美愛の手前というのもあったが、どちらかというとそれを許さない見えない力が桜の木から感じられたためだ。
「そやけど、この木と関係があるかもってこと以外なーんにもわからないんでしょ。」
「そうだよ。」
「どうすんの?」
「さあて、どうしようか。」
「頭使う系は零にお任せー。」
「頼りにしてるよ、美愛。」
「…ばかぁ。」