Grim Saga Project

001 Prologue

 
 
 
「ねえねえ、オレンジ。」
 
「ん?なになにー?」
 
「近々仲間が増える、って籠様が言ってたよ。」
 
「え!?どんな人かなぁ。」
 
「男性だって聞いた。」
 
「ほほーう。てことは野菜だねぇ。」
 
「そうだね。」
 
アップルさんとオレンジさんがきゃぴきゃぴと話してはいるけれど、明るい雰囲気とはまったく異なり、部屋は暗い。
そこにコツコツと私の控えめな足音が響く。
 
「あ、籠様、久しぶりー。」
 
軽い口調で私に話し掛けたのは、女子大生のオレンジさん。
それに私が応えた。
よく声がか細いと言われるが、自覚はない。
 
「お久しぶりです、オレンジさん。」
 
私は薄布の白い服を身に纏っている。
装束とでも形容するのが相応しいだろうか。
フードを目深に被るのが習慣。
周りから顔の上半分はほとんど見えない感じだと思うが、そのためのフードだ。
恥ずかしいから、という理由も大きい。
 
何枚同じ服を持っているのだろう、と思われているかもしれない。
アップルさんにもオレンジさんにもこの服でしか会ったことがなかった気がする。
 
「籠様、私は先に聞いちゃったから、今オレンジに話していたところですよ。」
 
「ありがとうございます、アップルさん。そう、今日お二人に来ていただいたのはそのことなのです。」
 
「というと?」
 
「彼も連れて、今回のミッションに臨んで欲しいのです。」