Grim Saga Project

001 Setting-up [CE] Anti Poison Unit

 
 
 
「杠さん、ちょっと相談があるんですが。」
 
「お、なんだい?」
 
「はい。姉の病気のことです。」
 
「うん。」
 
「手を組みませんか?利害が一致する者同士。」
 
「いいね。どこまで考えてある?」
 
「いえ、実はまだほとんど何も。二つだけあって、一つはメンバー。僕と杠さんのほかに、凛にも力になってもらいます。」
 
「ほう。二つ目は?」
 
「姉の病気は器の毒の可能性がある、というところまでは知っての通りです。やはり、器についてもう少し知らないと先に進めない。杠さんも器のことを調べているってことだったので、情報を共有してほしくて。」
 
「うん。確かに利害も一致するし、お互いに持ってる情報も共有すべきだ。俺は梨紗のために生きると決めたしね。」
 
「交渉成立ですか?」
 
「いや、まだだ。俺から提供できる情報はいくつかありそうだが、瞬から俺が得るものはあるのかい?つまり、行き詰まってるから協力してくれ、ってことだろ?」
 
「なるほど。それはその通りだ。ここまでに僕が得ている情報の中に、杠さんにとって有益な情報が含まれるか判断がつきませんが、どう考えればいいでしょう。」
 
「じゃあ瞬の情報は保留だ。なぜ、俺と瞬と凛を選んだ?」
 
「凛のことですね?」
 
「そうだ。」
 
「僕も杠さんも能力は戦闘向きじゃありません。仮に危険が及んだ時の保険、とは思っています。」
 
「ふうん。交渉能力はまだまだだな。それは建前だ。そもそも今の彼女は能力が使えるかどうかすら危ういんじゃないのかい?」
 
「わかりますか?」
 
「あの子は優しい。あれだけの事件の後で、何事もなかったかのように先に進むことはできないだろ。」
 
「はい。本音は、ただ一緒に居たい、一緒に居る時間を増やしたい、というのはあります。仰る通り、あれ以降トラウマ的に自分を恐れているし、そこから救い出すきっかけにできないかな、と思ってます。」
 
「そういう理由なら理解できる。どうすっかなあ。」
 
「それじゃあ、僕は、姉の病気を治すことができたら杠さんと姉の結婚を認めます。」
 
「おい、瞬、ちょっと待て!いきなりエラいリーサルウェポンぶっこむなよ。びっくりした…。」
 
「どうですか?」
 
「いや、まあちょっと試しただけだ。瞬・凛と協力するデメリットなんて基本何もないし。つーか、断ったら認めないつもりかよ。」
 
「ええ。協力し合えない人に大事な姉を任せるわけに行かないでしょう?」
 
「うわ、コワイこと言うなあ。さっきの交渉まだまだ発言は撤回しとくわ。」
 
「それじゃあ交渉成立ってことで。よろしくお願いします!」